BCP(業務継続計画)義務化の波|ホームページで“災害対応力”をアピールする時代
2025/08/01

令和6年度から経過措置期間終了に伴い本格施行義務化されたBCP(業務継続計画)への対応は進んでいますか?「策定はしたけれど、それで終わり?」そう思っているなら、もったいない!BCPは単なる義務ではなく、施設の信頼性を高め、利用者やそのご家族に選ばれるための強力な武器になります。
義務化されたBCP、未対応だとどうなる?
ご存知の通り、令和6年度からは全ての介護サービス事業者にBCPの策定、研修、訓練が義務付けられています。これに未対応の場合、基本報酬の減算という厳しい措置が適用されます。つまり、BCPは「やっておくと良いこと」ではなく、「やらなければ“評価が下がる”」必須の取り組みになったのです。
しかし、BCPの重要性は報酬の減算だけではありません。超高齢社会において、地震や台風、感染症など、いつ何が起こるか予測できない現代で、「まさか」の時にどれだけ利用者さんの安全を守れるかは、施設選びの重要な決め手となっています。
選ばれる施設の秘訣は、ホームページでの“災害対応力”アピールにあり!
「あの施設は、災害時でも安心だね」「しっかり対策しているから、家族を預けても大丈夫」——。利用者やご家族は、そうした安心感を求めています。そして、その安心感を伝える最も効果的なツールの一つが、施設のホームページです。
想像してみてください。大切な家族の入居先を探している方が、いくつかの施設のホームページを比較しています。
A施設 | 施設の概要やサービス内容が中心で、災害対策については特に触れられていない。 |
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B施設 | 施設の概要に加え、「BCP策定済み」「定期的な避難訓練の実施」「非常食・備蓄品の確保状況」などが写真や具体的な説明とともに掲載されている。 |
どちらの施設に、より安心感を抱き、問い合わせをしようと思うでしょうか?間違いなくB施設ですよね。
特に、近年はインターネットでの情報収集が当たり前になり、「災害時対応」や「安全対策」といったキーワードで施設を検索するご家族が増えています。あなたの施設のホームページが、こうしたニーズに応えられているかどうかが、選ばれるかどうかのポイントになってくることがあります。
ホームページに掲載すべきBCP情報とアピールの工夫ポイント
では、具体的にホームページでどのようなBCP情報を、どのように掲載すれば効果的なのでしょうか?
BCP策定済みであることを明記する
トップページや施設の概要ページなど、分かりやすい場所に「業務継続計画(BCP)策定済み」であることを明記しましょう。できればロゴやマークなどを活用し、視覚的にもアピールできると良いです。
BCPの概要を分かりやすく説明する
「当施設のBCPについて」といった専用ページを作成し、自然災害(地震、風水害など)と感染症(新型インフルエンザ、新型コロナウイルスなど)、それぞれに対する基本的な方針や取り組みを簡潔に説明します。専門用語は避け、誰にでも理解できる言葉で伝えましょう。
具体的な取り組みを写真で紹介する
非常用発電機や備蓄倉庫、非常食、医療品の写真。
定期的に実施している避難訓練や初期消火訓練の様子。
地域連携訓練への参加風景など。
スタッフへの研修・訓練体制を示す
「全職員対象にBCP研修を年〇回実施」「〇月に避難訓練を実施しました」など、スタッフがBCPを理解し、実際に動ける体制が整っていることを伝えましょう。集合研修だけでなく、eラーニングなどを活用している場合はそれもアピールポイントになります。
地域の連携体制を明確にする
地域の医療機関や自治体、消防署などとの連携状況も信頼性につながります。「〇〇病院と災害時連携協定を締結」といった情報も掲載できると良いでしょう。
Q&A形式で疑問を解消する
「災害時の連絡手段は?」「避難場所はどこ?」「非常食の提供は?」など、利用者さんやご家族が抱くであろう疑問をQ&A形式で掲載し、事前に不安を解消することで、安心感を提供できます。
BCPは「備え」であると同時に「強み」になる
BCPの策定は、施設運営におけるリスクマネジメントの基本中の基本です。しかし、それをただの義務として終わらせるのではなく、積極的に情報発信することで、施設の大きな「強み」に変えることができます。
ホームページは、あなたの施設の顔であり、多くの人が最初に訪れる場所です。BCPへの取り組みを効果的にアピールすることで、利用者さんやご家族に安心感を与え、「選ばれる介護施設」へと繋がるでしょう。
まだBCPの情報をホームページに掲載していない、あるいは内容が不十分だと感じているなら、今が改善のチャンスです。これを機に、あなたの施設の災害対応力をホームページで存分にアピールし、より多くの信頼と集客に繋げていきましょう。